【ご近所トラブル】隣家の植木越境、我慢する?それとも戦う?解決への道筋
この記事を監修した人
出山 はじめ(Hajime Deyama)
お庭の専門家
造園業歴18年。2011年に造園業で独立して以来、庭のお手入れ、庭づくりに従事。
2019年に「くらしのマーケットアワード」剪定・造園部門で入賞。全国600以上の業者の中から8組に選ばれる。
2023年に「ワークゼン合同会社」を設立。現在はワークゼン合同会社の代表として、造園事業、植栽管理専門「ツリーステック(TreesTec)」の事業に携わる。
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出山 はじめ
お庭の専門家
造園業歴18年。2011年に造園業で独立して以来、庭のお手入れ、庭づくりに従事。
2019年に「くらしのマーケットアワード」剪定・造園部門で入賞。全国600以上の業者の中から8組に選ばれる。
2023年に「ワークゼン合同会社」を設立。現在はワークゼン合同会社の代表として、造園事業、植栽管理専門「ツリーステック(TreesTec)」の事業に携わる。
隣の家から伸びてくる植木が気になる…越境した枝葉で迷惑しているけど、トラブルになるのは避けたい…
そんな悩みをお持ちのあなたへ。
隣家とのトラブル原因によくある植木の越境問題について、放置しておくことで考えられるリスクや、具体的な解決策をまとめました。
本記事では、状況把握の仕方から、証拠の残し方、隣家への伝え方、それでも解決しない場合の相談先、最終手段としての裁判まで、段階を踏んで詳しく解説します。
この記事を読めば、あなたが取るべき行動がきっと見つかります。
隣家とのトラブル、原因ランキング上位は「植木の越境」
ご近所トラブルと聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?
騒音、悪臭、ゴミ問題…様々なトラブルが考えられますが、その中でも常に上位にランクインするのが、植木の越境問題です。
隣家との境界線を越えて伸びてくる木の枝や根は、景観を損なうだけでなく、日照や通風を妨げたり、落ち葉や虫の発生源となったりと、様々な問題を引き起こします。
場合によっては、家の外壁や屋根を傷つけてしまうこともあります。
実は深刻!植木越境が引き起こすトラブル事例
植木越境が原因で起こるトラブルは、想像以上に深刻なケースも少なくありません。具体的な事例をいくつか見ていきましょう。
1. 日照権の侵害
隣家の植木が自分の家の敷地内にまで伸びてきてしまい、日当たりが悪くなってしまうケースは少なくありません。
特に、南側に高い木を植えられた場合、日照時間が極端に減ってしまうこともあります。
日照権は法律でも認められている権利の一つであり、深刻な日照被害を受けている場合は、損害賠償請求ができる可能性もあります。
2. 建物の損傷
伸びた木の根が、家の基礎部分にまで達し、ひび割れや傾きなどの被害をもたらすことがあります。
また、枝が屋根に接触することで、瓦を破損したり、雨漏りの原因となったりすることもあります。
建物の損傷は、高額な修繕費用がかかる可能性もあり、早急な対策が必要です。
3. 害虫の発生源
越境してきた木は、毛虫やゴキブリ、蚊などの害虫の発生源となることがあります。
害虫は、植物を食害するだけでなく、人体に影響を与える可能性もあり、衛生面でも問題視されています。
特に、小さなお子さんやペットがいる家庭では、注意が必要です。
4. ご近所トラブル
植木越境は、ご近所トラブルの火種になりやすい問題の一つです。隣家との関係性が悪化してしまうと、その後の生活にも影響が出てしまう可能性があります。
トラブルを未然に防ぐためにも、日頃からコミュニケーションをとり、良好な関係を築いておくことが大切です。
「ちょっとのこと」「言いづらい…」放置で悪化するご近所関係
隣家とのトラブルで最も多い原因の一つが植木の越境問題です。 「ちょっとのことだし」「言いづらいし…」と我慢していませんか?
しかし、その「ちょっと」が積み重なると、ご近所関係が悪化する大きな原因になりかねません。
放置するとどうなる?
「越境しているのはほんの少しだし」「そのうち枯れるだろう」と安易に考えて放置してしまうと、事態は悪化する可能性があります。
例えば、
- 植木が成長し、さらに越境範囲が広がる
- 落ち葉や虫の発生源となり、迷惑が大きくなる
- 日当たりや風通しが悪くなり、日常生活に支障が出る
など、最初は小さな問題でも、時間とともに大きなトラブルに発展する可能性があります。
また、放置することで「相手は何も言わないから、このままで良いのだ」と誤解を与え、後々トラブルになった際に解決がより困難になることも考えられます。
悪化する前に… 人間関係悪化のリスク
植木の越境問題を放置することで、ご近所付き合いにも悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、
- 挨拶をしても無視されるようになる
- 陰口を言われていると感じる
- 他の住人からも避けられるようになる
など、快適な生活を送る上で欠かせないご近所との良好な関係が壊れてしまうかもしれません。
「我慢」はストレスに…
「植木くらい我慢すればいい」と思うかもしれません。しかし、毎日目に付く場所にストレスの原因があると、知らず知らずのうちに精神的な負担を抱え込んでしまいます。
- 常にイライラしやすくなる
- 睡眠不足や食欲不振に陥る
- 家族関係が悪化する
など、心身に悪影響を及ぼす可能性も否定できません。
「ちょっとのこと」と安易に考えず、早めに対処することで、ご近所トラブルを未然に防ぎ、良好な関係を築き上げることが大切です。
「植木の越境」放置で損をするのは自分かも?
隣家から越境してくる植木、見過ごしていませんか?
「そのうちなんとかなるだろう」「波風立てたくないし…」と安易に考えて放置してしまうと、後々、大きな損をしてしまう可能性があります。
放置することで何が起きるのか、具体的な問題点を見ていきましょう。
知らないと怖い!法律上の問題点
植木の越境は、法律上、「枝葉越境」と呼ばれ、民法で規定されています。民法では、隣地の所有者は、自分の土地に侵入してきた枝葉を切除することができるとされています(民法第233条)。
つまり、あなたが植木の越境を放置した場合、隣家はあなたの許可なく、自分の敷地内から越境部分を切除することができてしまうのです。
もちろん、勝手にあなたの敷地内に入って切除することはできませんが、場合によっては、高額な費用をかけて専門業者に依頼することになるかもしれません。
そうなると、あなた自身が費用負担を求められる可能性も出てきます。
精神的な苦痛は大きな負担
植木の越境は、精神的な苦痛にもつながります。日差しを遮られたり、落ち葉が大量に落ちてきたり、虫の発生源になったりと、日常生活に支障をきたす可能性も考えられます。
また、景観を損なうことで、資産価値に影響が出る可能性も否定できません。
このような状況が続くと、ストレスを感じたり、隣人との関係が悪化したりする原因にもなりかねません。
場合によっては、健康被害や訴訟問題に発展するケースも少なくありません。
問題点 | 詳細 |
---|---|
法律面 | 隣家が勝手に越境部分を切除する権利を持つ 切除費用を請求される可能性がある |
精神面・生活面 | 日照や景観の悪化によるストレス 落ち葉や虫による生活への支障 隣人との関係悪化 健康被害の可能性 |
経済面 | 専門業者による切除費用の負担 資産価値の低下 訴訟費用 |
このように、「植木 越境」を放置することは、様々なリスクを伴います。
早めに対処することで、これらの問題を回避できる可能性が高まります。次の章では、具体的な対処法について解説していきます。
隣家とのトラブルを回避!植木越境への対処法
隣家との植木越境トラブルは、放置すると関係悪化に繋がりかねません。
トラブルを回避し、良好な関係を維持するためにも、適切な対処が必要です。ここでは、具体的な対処法をステップごとにご紹介します。
まずは冷静に状況を把握
感情的に行動する前に、まずは冷静に状況を把握しましょう。越境している植木の範囲、種類、期間などを確認します。
過去のトラブルの有無や、隣家との普段の関係性なども考慮することが大切です。
記録は客観性を保つために必須!
トラブルに発展した場合に備え、客観的な証拠を残しておくことが重要です。写真や動画、日記などを活用し、詳細な記録を残しましょう。
効果的な証拠の残し方
写真撮影
植木の越境状況を写真に記録しましょう。撮影日、時間、場所を記録しておくことが重要です。
全体像だけでなく、越境している部分のクローズアップ写真も撮影しておくと、より証拠としての価値が高まります。
スマートフォンのカメラアプリで位置情報を埋め込む設定も有効です。
動画撮影
写真と同様に、動画でも越境状況を記録しておきましょう。風で揺れている様子や、日当たりが悪くなっている様子など、写真では伝わりにくい情報も記録できます。
撮影日時や場所を記録し、状況説明を音声で吹き込むことも有効です。
日記
いつ、どのような越境があり、どのような被害が出ているのかを日記に記録しましょう。
具体的な内容を記載するように心がけ、感情的な言葉は避け、客観的な事実を記述します。
隣家との会話の内容や、対応を試みた場合はその記録も残しておきましょう。
穏便な解決を目指すなら「話し合い」
証拠を基に、まずは隣家との話し合いで解決を目指しましょう。ただし、感情的にならず、冷静に状況を説明することが大切です。
話し合いのポイント
- 穏やかな口調で話す
- 事実を具体的に伝える
- 相手の言い分にも耳を傾ける
- 解決策を一緒に考える姿勢を示す
これらのポイントを踏まえ、誠意を持って話し合いに臨みましょう。隣家との良好な関係を維持するためにも、一方的な要求や非難は避けることが重要です。
第三者を入れて解決を目指す
話し合いが難しい場合や、話し合っても解決に至らない場合は、第三者を介入する方法もあります。
自治体の無料相談
多くの自治体では、ご近所トラブルに関する無料相談窓口を設けています。
専門の相談員に状況を説明し、アドバイスをもらったり、場合によっては間に入ってもらったりすることができます。
費用をかけずに相談できるため、まずは気軽に相談してみましょう。
弁護士への相談
法的措置も視野に入れる場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談することで、法的観点からのアドバイスを受けたり、代理人として交渉や訴訟手続きを依頼したりすることができます。
ただし、弁護士費用が発生するため、事前に費用を確認しておくことが重要です。
調停
裁判外紛争解決手続の一つである調停を利用する方法もあります。裁判所または法務大臣が選任する調停委員を間に立て、当事者間の話し合いによって合意を目指します。
調停は、裁判と比較して、手続きが簡便で費用も抑えられるというメリットがあります。ただし、調停で合意に至らなかった場合は、改めて裁判を起こす必要があります。
最終手段!裁判
話し合いや第三者による介入でも解決しない場合は、最終手段として裁判を起こすことも検討します。
しかし、裁判は時間と費用がかかる上、隣家との関係悪化は避けられません。
裁判を起こす前に、弁護士に相談し、勝訴の見込みや手続き、費用などを十分に検討する必要があります。
まとめ
隣家とのトラブル、特に植木越境問題は放置することで悪化する可能性があります。
ご近所トラブルは「ちょっとのこと」「言いづらい…」と我慢してしまうケースが多いですが、法律上の問題や精神的な苦痛を考えると早めの対処が大切です。
まずは状況を把握し、写真や日記などで証拠を残しましょう。その上で、穏便な解決のため隣人との話し合いを試みてください。
話し合いで解決しない場合は、自治体の無料相談や弁護士への相談も検討しましょう。
最終手段としては裁判という方法も考えられますが、時間と費用がかかる可能性があることを理解しておく必要があります。
隣人との良好な関係を築きながら、トラブルを解決できるよう冷静に対処していきましょう。