寒肥とお礼肥の最適な時期は?肥料の疑問を植栽のプロがスッキリ解決!

寒肥とお礼肥の最適な時期は?肥料の疑問を植栽のプロがスッキリ解決!
アーボリストの笑顔

この記事を監修した人

出山 はじめ(Hajime Deyama)

お庭の専門家

造園業歴18年。2011年に造園業で独立して以来、庭のお手入れ、庭づくりに従事。

2019年に「くらしのマーケットアワード」剪定・造園部門で入賞。全国600以上の業者の中から8組に選ばれる。

2023年に「ワークゼン合同会社」を設立。現在はワークゼン合同会社の代表として、造園事業、植栽管理専門「ツリーステック(TreesTec)」の事業に携わる。

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出山 はじめ

お庭の専門家

造園業歴18年。2011年に造園業で独立して以来、庭のお手入れ、庭づくりに従事。

2019年に「くらしのマーケットアワード」剪定・造園部門で入賞。全国600以上の業者の中から8組に選ばれる。

2023年に「ワークゼン合同会社」を設立。現在はワークゼン合同会社の代表として、造園事業、植栽管理専門「ツリーステック(TreesTec)」の事業に携わる。

「寒肥」「お礼肥」の違い、ちゃんと理解できていますか?

どちらも植物を育てる上で欠かせない肥料ですが、その役割や与える時期を間違えると、逆効果になってしまうことも。

でやま

この記事では、庭木の生育に最適な肥料の種類や、施肥時期を植栽のプロが分かりやすく解説します。

それぞれの肥料の特徴を理解し、植物の生育ステージに合わせて適切な肥料を選び、健康で美しい庭木を育てましょう。

目次

寒肥とは?(有機質肥料)

有機肥料

寒肥の役割

寒肥とは、冬季に植物に与える肥料のことを指します。寒肥を与える目的は主に3つあります。

まず、冬の間、植物の生育は緩慢になりますが、根は活動を続けています。

寒肥を与えることで、休眠中の根の活動を支え、春以降の生育を助ける効果が期待できます。

次に、土壌の温度を保つ効果があります。有機質肥料である寒肥は、分解時に発熱するため、土壌の温度低下を防ぎ、根の凍結を防ぐ効果があります。

最後に、土壌の地力を高める効果があります。有機質肥料は、土壌中の微生物の活動を活発化させ、土壌構造を改善する効果があります。

寒肥を与える時期

寒肥を与える最適な時期は、植物の生育が休眠に入る12月~2月頃が目安です。ただし、地域や気候条件によって多少前後することがあります。

一般的に、落葉樹は葉が完全に落ちた後、常緑樹は寒さが厳しくなる前に寒肥を与えます。
寒肥を与える時期が遅すぎると、春の生育開始に間に合わず、効果が半減してしまう可能性があります。

逆に、早すぎると、植物がまだ活動期であるため、新芽が霜害を受ける可能性があります。

寒肥に適した肥料の種類と特徴

寒肥として一般的に用いられる有機質肥料には、次のようなものがあります。私はこの4種類の有機質肥料をブレンドして与えています。

スクロールできます
肥料の種類特徴メリットデメリット
油かす油脂を搾った後に残る粕で、窒素を豊富に含む。効果が長続きする。臭いが強い。
鶏糞鶏の糞を乾燥させたもので、窒素、リン酸、カリウムをバランス良く含む。即効性がある。臭いが強い。
牛糞牛の糞を乾燥させたもので、鶏糞よりも肥効が穏やか。土壌改良効果が高い。効果が現れるまでに時間がかかる。
骨粉動物の骨を粉砕したもので、リン酸を豊富に含む。花付きや実付きをよくする効果がある。窒素成分は少ない。

※上記以外にも、魚粉やバーク堆肥なども寒肥として利用されます。

その他

最近では、上記のような有機質肥料を配合した、使いやすい寒肥専用の肥料も販売されています。それぞれの植物に合った肥料を選ぶようにしましょう。

寒肥の適量と頻度

寒肥の与え方は、植物の種類や大きさ、土壌の状態によって異なります。

  • 樹木の場合:幹回り1mあたり約1kgを目安に、樹冠部の外縁に沿って円を描くように施肥します。
  • 草花の場合:1㎡あたり約100gを目安に、株元に施肥します。

寒肥は、基本的に年に1回、冬に施肥するだけで十分です。ただし、土壌の状態が悪い場合や、生育が旺盛な場合は、春や秋に追加で施肥することもあります。

お礼肥とは?(化学肥料)

化成肥料

お礼肥とは、植物が開花・結実後、収穫後に与える肥料のことです。

開花や結実、収穫は植物にとって多くのエネルギーを必要とするため、その後に体力を回復させ、翌年以降も生育を良くするために必要な栄養を補給する目的があります。

収穫後の疲れた植物に、感謝の気持ちを込めて与える肥料という意味合いから「お礼肥」と呼ばれています。

お礼肥の役割

お礼肥を与えることで、以下のような効果が期待できます。

  • 植物の体力回復
  • 翌年以降の開花・結実の促進
  • 根の成長促進
  • 植物の抵抗力向上

お礼肥を与える時期

お礼肥を与える時期は、植物の種類や収穫時期によって異なりますが、一般的には収穫後から休眠期に入るまでの間が適しています。具体的には、

  • 一年草:花が咲き終わって種子を採取した後
  • 多年草:花が咲き終わって地上部が枯れ始めた頃
  • 果樹:果実を収穫した後
  • 野菜:収穫を終えた後

などが目安となります。ただし、地域や気候によっても最適な時期は異なるため、栽培する植物の特性に合わせて調整する必要があります。

迷った場合は、地域の園芸店やホームセンターなどに相談してみるのも良いでしょう。

お礼肥に適した肥料の種類と特徴

お礼肥には、即効性のある化学肥料と、ゆっくりと効果が持続する有機質肥料があります。どちらの肥料も、植物に必要な栄養素である窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)をバランス良く含んでいることが重要です。

それぞれの肥料の特徴を理解し、植物の状態や生育段階に合わせて使い分けることが大切です。

化学肥料

化学肥料は、工場で化学的に合成された肥料です。水に溶けやすく、植物がすぐに吸収できるため、即効性を求める場合に適しています。

ただし、効果の持続期間が短いため、定期的に追肥する必要があります。主な種類として、以下のものがあります。

種類特徴用途
化成肥料窒素、リン酸、カリウムをバランス良く含む。様々な植物に使える万能肥料。
液体肥料水に薄めて使う。吸収が早く、効果がすぐに現れる。生育不良時の回復や、追肥に。

出典:全国農業協同組合中央会

有機質肥料

有機質肥料は、動植物由来の天然成分を原料とした肥料です。ゆっくりと分解されるため、効果が長く持続するのが特徴です。

土壌の微生物の活動を活性化し、土壌改良効果も期待できます。主な種類として、以下のものがあります。

種類特徴用途
油かす窒素を多く含む。効果が穏やかに現れる。葉物野菜や果樹に。
骨粉リン酸を多く含む。開花や結実を促進する。花木や果樹に。
魚粉窒素とリン酸を多く含む。即効性がある。生育初期の植物に。

出典:住友化学園芸株式会社

お礼肥の適量と頻度

お礼肥の量は、植物の種類や大きさ、生育状態、用いる肥料の種類によって異なります。

基本的には、肥料のパッケージに記載されている量を目安に、植物の状態を観察しながら調整しましょう。

肥料の与えすぎは、根を傷めることがあるため注意が必要です。また、頻度としては、化学肥料の場合は、2週間に1回程度を目安に追肥します。

有機質肥料の場合は、効果が長く続くため、1回施肥すれば十分な場合が多いです。

お礼肥は、植物の生育を助けるために重要な役割を果たします。

適切な時期に適切な肥料を与えることで、植物は翌年以降も元気に育ち、美しい花やおいしい実を私たちに届けてくれるでしょう。

寒肥とお礼肥を与える際の注意点

肥料

肥料の与え方

寒肥の与え方

  • 寒肥は、植物の活動が鈍くなる休眠期に与えることが大切です。 根が肥料を吸収しきれない時期に与えてしまうと、肥料焼けを起こしたり、病害虫の発生を招いたりする可能性があります。
  • 寒肥を与える時期は、地域や植物の種類によって異なりますが、一般的には12月から2月頃が適期とされています。
  • 寒肥は、植物の根元から少し離れた場所に、円を描くように施します。 肥料が直接根に触れないように注意しましょう。
  • 寒肥を与えた後は、土をかぶせてしっかりと混ぜ込みます。

お礼肥の与え方

  • お礼肥は、植物の花後や収穫後に与えることで、次の生育や開花に備えさせます。
  • お礼肥を与える時期は、植物の種類によって異なりますが、一般的には花後や収穫後、遅くとも9月頃までに与えるようにします。
  • お礼肥は、植物の生育状況に合わせて、適量を施します。 与えすぎると、肥料焼けを起こしたり、生育バランスを崩したりする可能性があります。
  • お礼肥は、液体肥料の場合は水で薄めて、固形肥料の場合は土に混ぜてから与えます。

失敗しないためのポイント

  • 肥料の種類と量は、植物の種類や生育段階、土壌の状態に合わせて調整しましょう。 不安な場合は、園芸店などで相談することをおすすめします。
  • 肥料を与える前に、土壌の乾燥状態を確認しましょう。 土が乾いている場合は、事前に水やりをしてから肥料を与えます。
  • 肥料を与えた後は、土壌の湿度を保つように、適宜水やりを行いましょう。
  • 肥料焼けの症状が出た場合は、すぐに水で洗い流すなどの処置を行いましょう。

その他

土壌改良の重要性

  • 健康な植物を育てるためには、肥料だけでなく、土壌改良も重要です。 定期的に腐葉土や堆肥などを混ぜ込むことで、土壌の通気性や排水性を改善し、植物が育ちやすい環境を作ることができます。

観察の重要性

  • 植物の状態を日々観察し、生育状況や葉の色つやなどを確認しましょう。 肥料不足や過剰などの兆候を早期に発見することで、適切な対応をとることができます。

まとめ

今回は、植物の生育を助けるために欠かせない「寒肥」「お礼肥」の適切な時期や種類、与え方について解説しました。

寒肥は休眠期の植物に栄養を蓄え、春以降の成長を促すために、1~2月頃に与えるのが効果的です。

一方、お礼肥は開花や結実で消費した栄養を補給するために、その活動期に合わせて与えるようにしましょう。

肥料の種類や量は、植物の種類や生育状況によって異なります。今回の内容を参考に、適切な時期に適切な肥料を与え、植物の健やかな成長をサポートしてください。

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