特殊伐採とは?特殊剪定や一般的な伐採との違いをわかりやすく解説

【基礎知識】特殊伐採とは?伐採・剪定との違いをプロが解説!
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この記事を監修した人

吉川 和宏(Kazuhiro Yoshikawa)

特殊伐採のスペシャリスト

高校時代から土日に植木屋さんでアルバイトを経験し、自然との触れ合いを通じて造園業に興味を持つ。

高校卒業後はそのまま造園業の会社に就職し、経験を積む。

24歳の時に独立し、自らの造園会社を立ち上げる。

現在はマンションやホテル、ゴルフ場などの法人向けの植栽管理や、一般の植木屋さんでは対応が難しい特殊伐採をメインとしたサービスを展開し、多くのお客様から信頼を得ている。

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吉川 和宏

特殊伐採のスペシャリスト

高校時代から土日に植木屋さんでアルバイトを経験し、自然との触れ合いを通じて造園業に興味を持つ。

高校卒業後はそのまま造園業の会社に就職し、経験を積む。

24歳の時に独立し、自らの造園会社を立ち上げる。

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「特殊伐採って何?」「特殊伐採って、普通の伐採と何が違うの?」「特殊剪定との違いは?」と疑問をお持ちではありませんか?

でやま

この記事では、特殊伐採の定義や必要性、特殊剪定や一般的な伐採との違いについて、図解を交えながら分かりやすく解説します。

住宅密集地や電線・道路付近など、伐採が難しいと感じる状況でも、安全かつ確実に作業を進める特殊伐採について、具体的な事例を挙げながら紹介していきます。

特殊伐採を検討されている方だけでなく、伐採や剪定に関する基礎知識を深めたい方も、ぜひ最後まで読んでみてください。

目次

特殊伐採とは?

アーボリスト

特殊伐採とは、一般的な伐採作業では対応できない、危険性や難易度が高い状況下で行われる伐採のことです。

周囲の環境や樹木の状態に合わせて、専門的な技術や知識を用い、安全かつ確実に伐採作業を行います。

特殊伐採が必要とされる背景

近年、都市化の進展に伴い、住宅や建物が密集するエリアで、高木がもたらすリスクへの対策が課題となっています。

また、放置された樹木による電線事故や、地震・台風時の倒木被害なども社会問題化しています。こうした背景から、特殊伐採の重要性が高まっています。

特殊伐採が求められるケース

  • 高木が密集している
  • 建物や電線に近接している
  • 急斜面や崖地など、足場が不安定
  • 道路や隣接地が狭く、重機が入らない
  • 樹木が病気や害虫被害を受けている

特殊伐採と通常の伐採の違い

通常の伐採は、比較的開けた場所で、チェーンソーなどを利用して木を根元から切り倒す作業を指します。

一方、特殊伐採は、上記のような特殊な条件下で、周囲の環境に配慮しながら、安全に木を伐採する技術を必要とします。

スクロールできます
項目特殊伐採通常の伐採
作業環境住宅密集地、電線近接地、急斜面など比較的開けた場所
作業方法ツリークライミング、リギング、クレーン、高所作業車などチェーンソーやノコギリによる伐採
技術・知識専門的な技術・知識が必要一般的な伐採技術で対応可能
安全性高い安全性が求められる比較的安全な作業環境
費用高額になる傾向比較的安価

特殊伐採における専門技術

  • ツリークライミング:ロープを使って木に登り、枝を切り落としながら伐採する方法
  • リギング:ロープワークを駆使し、切り落とした枝や幹を安全に地上に降下させる技術
  • クレーン操作:高所作業車が入れない場所で大木を伐採する際に使用

特殊伐採は、これらの専門技術を駆使することで、周囲の環境への影響を最小限に抑えながら、安全かつ確実な伐採作業を実現します。

なぜ最近、特殊伐採が注目されるようになったのか

アーボリスト

都市化の進展と生活空間の変化

近年、都市化の進展に伴い、住宅地や商業施設が森林や山間部にまで拡大しています。

そのため、これまで山林で行われていた伐採が、住宅や建物が密集した都市部で行われるケースが増加しています。

都市部では、電線や建物への倒木のリスクが高く、安全かつ効率的に伐採を行う必要性から、特殊伐採の需要が高まっています。

老朽化した樹木の増加

高度経済成長期に植樹された樹木が、老朽化によって倒木の危険性が増しています。

特に、公園や学校、道路沿いなど、人通りの多い場所に植樹されている老朽化した樹木は、落下や倒木の危険性が高く、早急な対策が必要とされています。

特殊伐採は、このような老朽化した樹木を安全に伐採する技術として、注目されています。

防災意識の高まり

近年、台風や集中豪雨などの自然災害による被害が頻発しており、防災意識が高まっています。

樹木は、強風や豪雨によって倒れたり、枝が折れたりするなどして、家屋や電線に被害を与える可能性があります。

特殊伐採は、災害発生のリスクを低減するために、事前に危険な樹木を伐採する手段として有効です。

環境保全への意識の高まり

特殊伐採は、従来の伐採方法と比較して、周囲の環境への負荷が低いという特徴があります。

樹木を細かく切断して運び出すため、周囲の樹木や植物への影響を最小限に抑えることができます。

また、騒音や振動も少なく、住宅地や商業施設など、周囲への配慮が必要な場所での伐採に適しています。

環境保全への意識の高まりとともに、環境負荷の低い特殊伐採が注目されています。

人手不足とコスト削減

林業や造園業など、従来から伐採を行ってきた業界では、人手不足が深刻化しています。

特殊伐採は、クレーンや高所作業車などの重機を使用することで、少人数で安全かつ効率的に作業を行うことができます。

そのため、人手不足の解消やコスト削減に貢献できる技術として、期待されています。

特殊伐採の種類と方法

アーボリスト

特殊伐採は、伐採する樹木や周囲の環境によって、最適な方法を選択する必要があります。代表的な特殊伐採の方法としては、以下の3つが挙げられます。

ツリークライミング・リギングによる伐採

ツリークライミング・リギングとは、ロープ技術を駆使して木に登り、枝や幹を少しずつ切り落とす伐採方法です。

専門の資格を持ったツリークライマーが木に登り、ロープを使って安全を確保しながら作業を行います。

足場を組むことが難しい場所や、周囲に家屋や電線などの障害物がある場合に適しています。

メリット

  • 足場を組む必要がないため、狭い場所や傾斜地でも作業が可能
  • 周囲の環境への影響を抑えながら、安全に伐採できる
  • 枝や幹を細かく切り落とせるため、周辺への被害を最小限に抑えられる

デメリット

  • 高度な技術と経験が必要
  • 他の方法に比べて作業時間がかかる場合がある
  • 樹木の大きさや状態によっては、適用できない場合もある

クレーンを使用した伐採

クレーンを使用した伐採は、大型クレーンを用いて樹木を吊り上げて伐採する方法です。

広範囲に渡って伐採する場合や、樹木が非常に大きい場合に適しています。また、短時間で作業を完了できるというメリットもあります。

メリット

  • 短時間で効率的に伐採できる
  • 大型の樹木でも安全に伐採できる
  • 他の作業と並行して行える場合がある

デメリット

  • クレーンが入れない場所では作業できない
  • 周囲の環境によっては、安全確保が難しい場合がある
  • 費用がかかりやすい

高所作業車を使用した伐採

高所作業車を使用した伐採は、高所作業車のバケットに乗り込み、高所の枝を切断していく方法です。

電線付近の枝の伐採や、比較的低い樹木の伐採に適しています。作業効率が高く、安全面にも優れています。

メリット

  • 安全かつ効率的に高所の作業ができる
  • 電線などの障害物がある場合でも、安全に作業できる
  • 比較的費用を抑えられる

デメリット

  • 高所作業車が入れない場所では作業できない
  • 樹木の大きさや形状によっては、適用できない場合がある

上記以外にも、伐採する樹木や状況に合わせて、様々な特殊伐採の方法があります。専門業者に相談することで、最適な方法を選定してもらうことができます。

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方法特徴メリットデメリット
ツリークライミング・リギングロープ技術を用いて木に登り、枝や幹を少しずつ切り落とす足場不要、周囲への影響が少ない、安全性の高さ技術と経験が必要、時間かかる場合あり、樹種や状況によっては不向き
クレーン伐採大型クレーンで樹木を根元から切り倒す、または吊り上げて伐採短時間、大型樹木に対応、他の作業と並行可能場所の制限、安全確保の難しさ、費用高
高所作業車伐採高所作業車のバケットに乗り込み、高所の枝を切断安全性、効率性、電線などの障害物にも対応場所の制限、樹種や形状によっては不向き

それぞれの方法にはメリット・デメリットがあり、状況に応じて使い分けることが重要です。経験豊富な専門業者に相談し、適切な伐採方法を選定しましょう。

特殊伐採・特殊剪定との違い

アーボリスト

「特殊伐採」と「特殊剪定」、どちらも樹木を扱う作業であるため混同されがちですが、実際には目的や方法が大きく異なります。

それぞれの違いを理解しておくことで、依頼する際もスムーズに進めることができます。

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項目特殊伐採特殊剪定
目的樹木そのものを根本から切り倒すこと。
不要になった樹木を処理する場合や、土地開発などで木をなくす場合に実施されます。
樹木の枝の一部を切り落とすこと。
樹木の生育を調整したり、樹形を整えたり、風通しや日当たりを良くするのが目的です。
対象樹木全体枝の一部
時期一年を通して可能だが、樹液の活動が弱まる落葉期が最適とされています。樹種によって適切な時期が異なります。
一般的には、落葉樹は冬、常緑樹は春か秋に行うことが多いです。
費用剪定に比べて高額になる傾向があります。
樹木の大きさや伐採の難易度によって費用は大きく変動します。
伐採に比べて安価な傾向があります。
剪定する範囲や樹木の大きさによって費用は変動します。

伐採が必要なケース

  • 樹木が枯れてしまい、倒木の危険がある
  • 建物の解体や新築に伴い、樹木が邪魔になる
  • 樹木が病気にかかっており、周囲の樹木への感染を防ぐ必要がある
  • 日当たりや風通しが悪くなり、近隣の住宅に影響が出ている

剪定が必要なケース

  • 樹木の成長を抑え、大きさを維持したい
  • 樹形を整え、美しく見栄えを良くしたい
  • 風通しや日当たりを良くしたい
  • 樹木に生息する害虫の発生を抑えたい
  • 果樹の収穫量を増やしたい

このように、伐採と剪定は目的も方法も全く異なる作業です。どちらの作業が必要かは、状況や目的によって判断する必要があります。

専門業者に相談すれば、最適な方法を提案してもらえるでしょう。

特殊伐採や剪定はどんなときに必要?

チェーンソー

特殊伐採は、一般的な伐採では対応が難しい状況において必要とされます。具体的には、以下のようなケースが挙げられます。

住宅や建物に隣接する大木

住宅や建物に近接している大木は、倒木や落枝によって家屋や人に被害を与える可能性があります。

特殊伐採では、ツリークライミングやクレーンなどを駆使して、周囲に影響を与えずに安全に伐採作業を行います。

電線に絡んでいる木

電線に絡んでいる木は、停電や火災の原因となる可能性があり大変危険です。

感電の危険性もあるため、専門の資格と技術を持った作業員が、絶縁処理などを施しながら慎重に伐採を行います。

狭い場所や傾斜地など作業が困難な場所

狭い場所や傾斜地、崖地など、重機が入れない場所での伐採は、特殊伐採の技術が必要となります。

ロープワークを駆使したツリークライミングや、クレーンを遠隔操作するなどして、安全かつ確実に伐採を行います。

街中での伐採

街中での伐採は、通行人や車両への安全確保、騒音や振動への配慮など、周辺環境への配慮が特に重要となります。

特殊伐採では、これらの要素を考慮し、安全かつ円滑に作業を進めるためのノウハウがあります。

学校や公園、寺院など障害物が多い施設

学校や公園、寺院など、遊具や墓石、建造物など障害物が多い施設では、周囲の状況に細心の注意を払いながら伐採を行う必要があります。

特殊伐採では、状況に応じて最適な方法を選択し、安全かつ効率的に作業を行います。

剪定が必要なケース

樹木の生育状況や周辺環境に合わせて、剪定が必要となるケースがあります。

剪定は、樹木の健康を維持し、美観を保つだけでなく、日当たりや風通しを改善することで、快適な生活環境を維持するためにも重要です。

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剪定の目的具体的なケース
樹木の健康維持病気や害虫の発生を予防するため 樹木の成長を調整し、樹形を整えるため
風通しや日当たりを良くするため
美観の維持庭木や生垣の形を整え、美しい景観を保つため 道路に面した樹木の枝を剪定し、
視界を確保するため
安全確保道路標識や信号機を隠す枝を剪定し、安全な通行を確保するため 建物に
接近しすぎた枝を剪定し、落枝による被害を予防するため

これらのケース以外にも、特殊伐採や剪定が必要となる場面は多岐にわたります。専門業者に相談することで、それぞれの状況に最適な対応を提案してもらうことができます。

特殊伐採は高い技術や専門的な知識が必要

アーボリスト

特殊伐採は、一般的な伐採と比べて、高度な技術や専門的な知識が求められます。

危険を伴う作業になるため、安全に作業を進めるためには、豊富な経験と専門知識に基づいた的確な判断が必要不可欠です。

特殊伐採に求められる専門知識・技術

  • 樹木の知識:樹種、樹齢、生育状況、腐朽の有無などを正確に見極める
  • ロープワーク技術:ツリークライミングやリギング作業において必須
  • 伐採技術:安全かつ効率的に木を伐倒するための技術
  • 重機操作技術:クレーンや高所作業車などを安全に操作する技術
  • 安全管理知識:作業現場のリスクアセスメントや安全対策の立案・実施
  • 関連法規の知識:労働安全衛生法、自然公園法など、特殊伐採に関する法令

特殊伐採におけるリスク管理の重要性

特殊伐採は、住宅や電線、道路などが存在する環境で行われることが多く、わずかなミスが大きな事故に繋がる可能性があります。

そのため、作業前の綿密な計画とリスクアセスメント、そして作業中の安全管理が非常に重要になります。

特殊伐採における主なリスク

  • 落下物による事故:伐倒した樹木や枝の落下
  • 転倒・倒壊による事故:伐採作業中の樹木の転倒や、伐採後の根返り
  • 接触による事故:電線や建物との接触
  • 落下による事故:作業者の高所からの落下

資格を保有する専門業者への依頼が安心

特殊伐採は、専門的な知識や技術、経験が求められる作業です。そのため、安全かつ確実な作業を行うためには、資格を保有する専門業者に依頼することが重要です。

特殊伐採業者を選ぶ際には、以下の点を参考にすると良いでしょう。

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項目内容
資格・経験伐採業務やチェーンソーなどに関する資格保有者
豊富な経験と実績を持つ業者
安全管理体制安全教育の実施状況 保険加入状況
見積もり・説明詳細な見積もりと作業内容の説明 質問に対して丁寧かつ分かりやすい説明
実績・評判ホームページなどで過去の施工事例を確認 口コミや評判をチェック

特殊伐採は、専門性の高い危険な作業です。安心・安全な作業の実施のため、信頼できる専門業者を選び、依頼するようにしましょう。

まとめ

特殊伐採は、高木が密集していたり、建物や電線に近接していたり、急斜面や崖地など、足場が不安定な場所での伐採作業が必要な場合に選ばれる方法です。

専門的な技術や知識を持った作業員が、ツリークライミングやクレーンなどを駆使して安全に作業を行います。

通常の伐採や剪定とは異なり、特殊伐採は状況に応じた適切な方法を選択することが重要になります。

そのため、特殊伐採が必要な場合は、経験豊富な専門業者に依頼することをおすすめします。

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